第3回

 

 

老いらくの恋

50を過ぎて恋をし恋に陥った
他愛のない恋に
感情をもてあそばれ
浮き浮きそわそわ
心をときめかせた
幼(おさな)日(び)に恋心を抱いたように
恋を夢見ていればいいものを
あの女性(ひと)の微笑みに魅せられて
僕はあの女性(ひと)の虜になって
あの女性(ひと)の残像に弄(もてあそ)ばれてしまった
暫くすると
嵐が吹き抜けて潮が引くように
あの女性(ひと)への恋心
あの女性(ひと)への憧れが
覚めてしまった
夢から現実に引き戻され
真っ赤に咲いたバラが色あせて地に落ち
黄昏(たそがれ)に沈んでいく夕日のように
老いらくの恋は哀しく消え入った

山 一歩