第4回

 

子供の泣き声

見かけなくなった聞けなくなった
玩具(おもちゃ)売り場の店先で駄々をこねて
泣き叫んでいる子を
時に床に引っくり返って手足をバタバタさせて
泣き喚(わめ)いてる子を
若い母親は周りの目を意識して狼狽(うろた)えている
幼稚園に入園したばかりの子が
先生の話を真面に聞くどころではなく
後ろの窓越しの母親が気になって気になって
後ろを振り向くこと振り向くこと
母親の姿が見えないとなれば
一目散に泣きながら母親の後を追う
遠い幼(おさな)日(び)のことが思い出となる
母親の乳房をまさぐって
母乳(ちち)を貪っていたのは
ついこの間だのこと
母と子の絆は尊く
母と子の絆は永久(とわ)なり

山 一歩