第9回

戦後の風景

家並みは全てが木造の平屋建てであった
道路は砂利道で車も走っていない
大尽と呼ばれる大きな家があり
その周りに借家が点在していた
通りの向かいに長屋があり
子だくさんが住んでいた
父親は見かけたことがない
戦死したのだろうか
隣の下宿屋には
沖縄から青年達が留学に来ていた
その中に中学生の少年がいて
その子のもとに時々
珍しいチョコレート ガム キャンディが送られてきた
表通りを少し行ったところに駄菓子屋があり
婆さんが子供相手に飴玉や駄菓子を商い
子供たちが小銭を持ってたむろしていた
家の裏には井戸があり庭には手漕ぎポンプがあった
表通りを右に折れた路地裏に
決まって紫色の朝顔が咲き、ほおずきが寄り添っていた

山 一歩