第22回

 消え行く映画館

 小学2年の正月に

東映のオールスター映画「任侠清水港」を見に行った

映画館は満員で立ち見

人と人の間から所々しか見えない

その上映画館は人いきれでむんむん

頭が痛くなっても映画は楽しかった

錦之介 千代之助 橋蔵 千恵蔵 等々

錚々(そうそう)たる俳優を記憶に留めた

それから何年かして

ローレンローレンローレンローレンで始まる西部劇「ローハイド」を

テレビで見ていた

隊長のギル・フェイバー

副隊長のロディ・イェーツ(クリント・イーストウット)

料理人のウィッシュボンの画像が今でも蘇る

高校生になって映画を見に行くようになった

映画館に入ると売店でポップコーンとビンコーラを買い

前から三列目右側に席を取る

大きなスクリーン高い天井のなかで西部劇を見るのが楽しみで

なかでもマカロニウエスタン「荒野の用心棒」が好きだった

時代の変遷で何時しか当時の映画館は消え入ってしまった

今14階の病室で「マディソン郡の橋」を見ている

主人公の存在自体が罪に思え

夜のしじまに一人涙する

 

山 一歩