第32回

 

雲が湧いて雲が流れてそして何処(いずこ)ともなく雲は消えていく

あの出来事も時代が流れて何時しか皆の記憶から忘れられていく

行く末は分かっていた

如何することも出来ないことも

彼がハーバードに留学したのは

勉学のためだけではなく敵国を知ることだった

その資源 経済力 大量生産 軍事力に圧倒される

彼には秀でた才能があった

それは博才である

カジノでのルーレット・ダイス・カード等負けることはなかった

プロの博徒になろうと思ったぐらいである

そして先々を読む将棋が好きで強かった

陸軍と海軍 公人と私人 組織と個の狭間に

思い悩み揺れ動いていた

真珠湾攻撃を企てた運命を背負った男である

長期戦になれば東京を初めとして

全国津々浦々が火の海になると予測していた

五十六は写真で見る限り堀とともにいい顔をしている

 

山 一歩