第60回

 坊やと風船
坊やが大きな大きな風船を握りしめ
よちよち転びそうに歩き回っている
風船と坊やを繋いでいる
細くて長い糸が心もとなく
今にも切れて大空の彼方に
風船が
消え入ってしまいそう
坊やの
その後を追う姿泣き顔が
目に浮かぶ
大きな大きな風船が
夢や希望や愛をいっぱい詰めて
大空に飛び立つ前に
風船は
ぱっと弾けて消えてしまった
坊やの目の前で

山 一歩