第76回

駅  舎
駅舎に汽車が止まっている
遥かなる旅路を終えて
汽車の屋根に煤けた残雪を乗せたまま
竜尾のような長い客車を横たえて
ポーという汽笛の残響を何時までも残して
最後の煙を落として
駅舎に汽車が安堵して休んでいる
早春の陽を浴びて
駅舎の屋根で
雀が踊って跳ねて遊んでいる
何処か遠くから汽笛が聞こえてくる
ポー ポー ポーと
切なく哀しい叫び声を発して
煙をもくもく吐き出して
汽車は何処かの空の下を
運命を引きずって走り続ける
山 一歩