第77回

 雲を追って ふと空を見上げる 雲が浮かんで流れていく また浮かんで流れていく その雲を追って 子を思う妻を思う母を思う そして遠く故郷を思う 思う心は愛であり祈りである 現実が思い出が何もかもが 雲に乗って手の届かない […]

第76回

駅  舎 駅舎に汽車が止まっている 遥かなる旅路を終えて 汽車の屋根に煤けた残雪を乗せたまま 竜尾のような長い客車を横たえて ポーという汽笛の残響を何時までも残して 最後の煙を落として 駅舎に汽車が安堵して休んでいる 早 […]

第75回

あこがれ 六十数年の過ぎ去り日々 小学校時代の想い出が蘇る 二部授業  午前中に校庭に集まり ソフトボールなどして 午後の授業を受ける 給食 アルミの食器 脱脂粉乳のミルク コッペパンと鯨の竜田揚げ 運動会 玉入れと騎馬 […]

第74回

せせらぎ 東と西にアオキの生け垣が伸びる 平屋建ての母家の南側に縁側 庭先に池がありその横に手漕ぎポンプ 庭の前を小川が流れ 石段を降りると水辺 小川のせせらぎを聞きながら 石段に腰を下ろして時を忘れて 川面を覗いている […]

第73回

 おたまじゃくし 裏山の梅の木に鶯が春を告げに来る 菜の花 れんげ草の上を蝶々が舞う ニイニイゼミが鳴き始め アブラゼミの蝉しぐれ つくつくぼうしが夏の終わりを啼く こうろぎが秋を知らせるかのように鳴き始める 禅師丸や長 […]

第72回

言  霊 風に吹かれて 雲の上で言霊が メロディーに乗って流れ出し歌いだす 想像を絶する詩歌(うた)が胸を打ち胸を刺す 詩人の魂がほとばしり 人々に感動を与え詩歌が永遠(とわ)に歌いつながれる サトウハチロー(1903. […]

第71回

 新たな風 年が明けて新たな風よ吹け 今年はオリンピックイヤー 新たな風が感動を呼び起こし 新たな風に乗って思い出が蘇る 1964年の東京オリンピックの想い出が蘇る マラソンのアベベやバレーボールの東洋の魔女の 活躍が思 […]

第70回

 負けた負けた負けた 負けた負けた負けた 昨日も負けた今日も負けた明日も負けるのでは しかし 気持ちが負けてはいけない 心が折れてはいけない 負けたのには敗因があるわけだ それを追求せよ 考えろ考えろ勉強しろ勉強しろ研究 […]

第69回

 峠の茶屋 馬の背に荷駄をつけて馬子が 汗をふきふき上がってきた 茶屋の婆さんがそれを見て 忙しげに動き出した 腰の屈んだ婆さんが 団子とお茶を 紅い毛氈を敷きつめた 休憩所に運んできた 馬子は何時ものように 馬の手綱を […]

第68回

 コオロギ 軒下で虫が泣き出す 鈴虫でもなくキリギリスでもなく コオロギがキィーロキィーロキィロキィロと 「何で泣いているの」と問いかける 悲しくて悲しくて寂しくて むせび泣く 嬉し泣きじゃないよね 一人オーケストラのバ […]