第67回

 夢 雪が夢が 乾いた空気の中を舞っている 夢が雪の中を彷徨う 夢が粉雪のように舞って 僕の心に積りだす 僕の心を真っ白にする 夢が僕の心に迷い込んで 夢が僕の心で眠ってしまった 夢は壊れやすいもの 夢を性急に追い求めて […]

第66回

 日溜まりの縁側 茅葺きの屋根の下 冬の日溜まりの縁側で お婆さんが一人 毛糸の手編みをしている その横で三毛猫が 座布団の上で 丸くなって居眠りしている ガラス戸の向こうで 時折木枯らしが音を立て 落ち葉が舞い踊ってい […]

第65回

 多摩川 菜の花からモンシロチョウが顔を出し タンポポに飛んでいく そよ風にタンポポの綿毛が舞い モンシロチョウがそよ風に乗って その後を追いかける 土手の草むらで土筆を見つけて喜ぶ 幸せを夢見て白詰草の中から 四葉のク […]

第64回

 えんどう豆 えんどう豆を植えておいた 気になって覗きに行く 何の変化もない 黒い土が盛り上がっているだけで 今朝もまた見に来てしまった 僕の願いを込めて 僕の夢が勝手に膨らみだす果てしなく すぐにもえんどう豆は芽を出し […]

第63回

 お池のなか 小石を気まぐれに蹴る ポチャンと音を立て 池に落ちる 平和なお池に波紋が広がる ミズスマシ アメンボが 慌てて逃げ出すスイスイと ゲンゴロウが目をまわして くるくる回りだした 波が円い輪を作って広がりだす […]

第62回

闇夜のニンフ 長い長い暗い暗い闇夜への 招待状 人は誰もが疲れて 眠りのなか夢のなか 一人悲しく寂しく闇夜のなか 眠れぬ夜に届いた招待状 窓を開け放つ 冷気がすうっと部屋に流れ込み 僕の心に闇夜のニンフが入り込んだ 闇夜 […]

第61回

 ピエロ 本当のピエロ ピエロの気持ちがわかる 子供たちを笑わせ喜ばせる ピエロの仮面の裏に どんな涙があろうが 子供たちに夢と希望を与え続ける もしもピエロが王子だったら 興ざめ ピエロはやっぱりピエロ ピエロはやっぱ […]

第60回

 坊やと風船 坊やが大きな大きな風船を握りしめ よちよち転びそうに歩き回っている 風船と坊やを繋いでいる 細くて長い糸が心もとなく 今にも切れて大空の彼方に 風船が 消え入ってしまいそう 坊やの その後を追う姿泣き顔が […]

第59回

令和二年の正月 お袋と家内と私で235歳になる 健康で静かに老々生活をおくれることを喜びとし 暦を捲ると夢が膨らみ春近し 過ぎ去りし日々は思い出となり 小学時代の風景が蘇る 子供たちに無邪気な笑顔が溢れ 何もない時代が素 […]

第58回

 蚊帳のなか 夏の陽が落ちて 蚊帳のなか 庭で子供が花火に興じ 縁側では母親が 団扇で涼をとりながら 子供を見守る ときおり夜風が 軒下の風鈴に音を奏で 蚊取り線香の煙を流す 花火の閃光を目にして 瞑想に耽る 蚊帳のなか […]